「ソリューションエンジニア」という求人を見かける機会が増えてきましたが、その具体的な仕事内容を理解している人は多くないでしょう。

単なる技術職とは違い、積極的な働きかけの中で課題を見つけ解決するITのプロがソリューションエンジニアです。

本記事では、注目の集まっているソリューションエンジニアの仕事内容や転職のポイントをご紹介します。

ソリューションエンジニアの仕事内容

エンジニアと聞くと、システムエンジニアやITエンジニアなどパソコンと向き合って取り組む仕事をイメージしやすいでしょうか。

ソリューションエンジニアはそんなエンジニアとは一味違い、積極的なコミュニケーションで仕事を動かす醍醐味がある職種です。

企業では、外資系のアクセンチュアという会社のソリューションエンジニア職が業界でも有名です。

具体的な仕事内容がイメージしづらいソリューションエンジニアですが、その主な業務内容を見ていきましょう。

相手が抱える問題をIT技術をベースに解決する

そもそもソリューションとは「問題の解決」を意味する言葉です。

企業が抱える悩みに対してヒアリングを行い、IT技術を通して課題を解決するのがソリューションエンジニアの仕事です。

ヒアリングした内容をもとに戦略を立案し、システムの構築、システムの運用まで一貫した業務を行います。

単にエンジニアとしてシステム開発の知識を持つだけでなく、それを用いて課題解決までの道筋を提示することが必要です。

製品やサービスに関する知識でソリューションを提供

IT技術そのものだけではなく、知識を提供することもソリューションエンジニアの仕事の一つです。

企業に対してセミナーや勉強会を開催して、ITの課題を解決するための知識を提供します。

IT技術は現在目まぐるしく進化を遂げており、それに付随する課題も各所で多く生じています。

そのような課題を自社で解決する技術を欲している企業も多く、ITのプロであるソリューションエンジニアの知識が必要となるのです。

上流工程から導入後までサポートする

ソリューションエンジニアは、要件定義・提案やシステムの構築など上流工程から一貫して業務を請け負います。

その他にも、システムを導入した後のサポートも重要な仕事です。

製品の品質を保証するために、時には社外のエンジニアと提携しながらシステムを監視します。

課題解決までがゴールではなく、システム導入後に問題が発生しないように運用を行うこともソリューションエンジニアの仕事なのです。

ソリューションエンジニアの役割

企業のITの課題一つ一つに対して適切な解決策を考えるソリューションエンジニアの仕事は、コンサルタントの要素も含んでいます。

そんなソリューションエンジニアが仕事に求められる役割をご紹介しましょう。

パートナー企業の技術を把握すること

ソリューションエンジニアは、クライアントの悩みに対して自社やパートナー企業の技術を使って解決策を提示します。

そのため、自社製品やパートナー企業の技術について網羅しておくことが必要です。

幅広い知識や、それを上手く課題解決に結びつけるスキルが求められるでしょう。

パートナー企業とソリューションを構築すること

ソリューションエンジニアには高いIT知識が必要ですが、一人や自社の力のみでソリューションを提供することは難しいです。

そこで重要なのが、パートナー企業と共にソリューションを構築することです。

高いコミュニケーション能力や、目標達成のために全体の進行を管理するスキルが求められます。

 

類似職種との関連性は？

ここまで、ソリューションエンジニアの仕事内容を紹介してきました。

ITの幅広い知識や技術を用いて業務を行うソリューションエンジニアですが、似た職種も多く存在します。

ここでは似ている職種との関連性を解説していきましょう。

システムコンサルタントの役割

似た仕事内容の職種の一つには、システムコンサルタントがあります。

IT技術によって顧客の課題を解決するという内容は同じですが、システム開発や導入に特に重きを置いている職種です。

ソリューションエンジニアと連携しながら、時には課題のヒアリングや企画立案も行うことがあります。

システムの開発・導入・運用の技術において、特に専門性を持っているのがシステムコンサルタントです。

テクニカルスペシャリストの役割

似たような職種のもう一つにはテクニカルスペシャリストがあります。

テクニカルスペシャリストは社内の営業担当やエンジニアに対して技術的なサポートを行う職種です。

サポート内容は運用時のトラブル対応など多岐にわたり、ソリューションエンジニアを裏方から支援する仕事です。

ソリューションエンジニアの年収

専門性の高い技術や知識が求められるソリューションエンジニアですが、年収はどれくらいなのでしょうか。

求人の年収額を平均すると約400万～500万円での募集が多く、平均より少し高い数字です。

ただし、特に外資系のソリューションエンジニア職では成果主義の会社も存在します。

努力や結果によって報酬がもらえる会社によってはこれに留まらず、1,000万円を目指すこともできる職種でしょう。

しかし高い年収を目指すのであれば、時間や体力などそれなりに犠牲にしなければならないものも増えます。

自分の理想の働き方に合っている企業を見つけるようにしたいですね。

 

ソリューションエンジニアのやりがい

ソリューションエンジニアの仕事のやりがいは、やはりクライアントの課題を解決する達成感でしょう。

社内外の多くの人と関り合いながらプロジェクトを進め、適切なソリューションを導いたときの喜びは大きくなります。

また、多くの専門技術が身に付くのもソリューションエンジニアのうれしいところです。

顧客の悩みを解決するには、自社製品やITに関する幅広い専門知識が必要です。

多くの知識が自分の中に蓄えられていく実感があることも、ソリューションエンジニアのやりがいの一つになるでしょう。

 

ソリューションエンジニアに必要なスキル

大きな達成感を感じられるソリューションエンジニアの仕事ですが、求められるスキルはどのようなものでしょうか。

ここからは、ソリューションエンジニアの仕事に役立つ能力についてご紹介します。

ITのプロであるソリューションエンジニアとして活躍するために、どんな能力が必要か確認しておきましょう。

問題を解決するための道筋を示す能力

相手の抱える問題に対して、最短距離の解決策を導き出す能力は必須です。

そのためにはITに関する専門的な知識だけではなく、論理的な思考力や多方面から問題をとらえる視野の広さも重要になります。

過去に課題にぶつかった際に解決法を考え実施してきた経験があれば、ソリューションエンジニアでは大きな役に立つでしょう。

また問題の解決策を見出すためには、課題を細分化して分析するスキルも重要です。

数字の法則性に気付くことや、現状を分析して数値化する能力もソリューションエンジニアの仕事に求められます。

コミュニケーション能力

問題の解決を考える前に、問題を浮き彫りにして正しく把握するには現状のヒアリングがとても重要です。

クライアントの本音の聞き出し、しっかりと課題を抽出するためには相手の心を開かせるコミュニケーション能力が必要でしょう。

また多くの場合、課題を発見できても自分一人のみでは解決に導くことはできません。

プロジェクトを適切に進めるには、自社の開発チームや社外のパートナー企業と連携しなければなりません。

多くの人と円滑にコミュニケーションをとるスキルは、必須の条件といえます。

ニーズを先読みする能力

問題解決がソリューションエンジニアの仕事ですが、相手から問題の提供を待つような受け身の体制では生き残れません。

時代の流れを正しく推測し、新たなニーズを創出することが必要になります。

新しい問題を発見できるように幅広い方向にアンテナを張り、ITによって解決策を企画する能力が求められるでしょう。

ソリューションエンジニアの将来性やキャリアパス

高度な専門性が求められるソリューションエンジニアですが、業界に将来性はあるのでしょうか。

転職を考える前に、ざっくりとしたIT業界の現状や将来性・キャリアパスを確認しておきましょう。

求人で目にすることが増えてきているソリューションエンジニアですが、実際のところ転職先に選んで問題ないのか解説します。

将来性

IT業界全体ではエンジニアの深刻な人材不足があり、2030年には約59万人もの人手が足りなくなると指摘されています。

業界規模としても約99.8兆円と国内のみならず世界的にもトップの規模で、これからも成長といわれている大きな業界です。

ITが生活の様々な場面で密接に関るようになってきた時代の中で、ITと切り離した生活は考えられないほどに定着しています。

様々な分野の業界で需要が高まっているITにおいて、それに付随する課題は今後も消えることは無いでしょう。

そのような課題に対するソリューションを見出すソリューションエンジニアの需要は、尽きることは無いといって良さそうです。

キャリアパス

現在のIT業界では、一つのことに特化したスペシャリストよりも、様々な仕事に対応する総合力も求められています。

課題のヒアリングからシステムの運用まで幅広い業務を経験できるソリューションエンジニアは、キャリアアップに向いている職種でしょう。

しっかりと専門知識や課題解決スキルを身に付けておけば、それだけキャリアアップの選択肢が広がります。

若いうちからでも成果を上げれば、リーダーやマネージャーといった役職も目指せるでしょう。

また専門スキルを求める企業への転職で一気に年収アップも狙えるのが、ソリューションエンジニアの特徴です。

普段の業務からキャリアプランを意識して、インプットの質を磨いておきましょう。