転職先を決定する際、求人情報だけで決めるのもよいでしょう。
ただ、転職は自分の将来を左右する決断でもあります。
そのためできるだけ条件のよい転職先を見つけることが大切です。
もしもせっかく転職した企業が経営悪化などで倒産してしまったら大変なことになるでしょう。
そこでおすすめなのは転職先を決定する際にその企業の財務諸表を確認することです。
この記事では転職で見るべき財務諸表について解説します。
見方やポイントについて紹介しますので参考にしてください。
Contents
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転職で見るべき財務諸表を解説
大企業だから安心という時代は終わりに近づいています。
大手であってもいきなり倒産する可能性はあります。
そのため転職する場合は希望する企業の財政状況もしっかりと把握しておくことが必要です。
希望している企業が早期退職者を募っている、赤字決算になっている、ボーナスを減額しているといった場合は注意が必要です。
ただ、こうした内部事情は知り合いやツテがなければなかなか手に入れることができません。
そこで重要となるのが財務諸表の確認です。
次の項目から財務諸表の具体的な内容について解説しますので参考にしてください。
財務諸表とは?
財務諸表とは何を指しているのでしょうか。
財務諸表はどうやって確認すればよいのかわからないという人もいるでしょう。
財務諸表は企業が一定期間の財政状況や経営成績を株主などのステークホルダーに報告するための資料です。
決算書というほうがわかりやすいでしょう。
日本の会計基準では、賃借対象表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などから財務諸表が構成されています。
具体的な内容について解説します。
損益計算書とは
損益計算書は、企業の一定期間における収益と費用の状態を示すものです。
経営成績を明確にして報告するための資料でもあります。
ビジネス用語ではP/Lと略されることもあります。
当期純利益の計算方法は、企業の本業の売上高から原価と費用を差し引きます。
会計年度が終了した段階でステークホルダーに提供するのが一般的です。
貸借対照表とは?
賃借対象表は、一定時点における企業の財務状況を表すための表です。
ビジネス用語ではB/Sやバランスシートと呼ばれることもあります。
表の内容としては右側に「資金調達の状況」、左側に「資金の運用状況」を記載します。
これにより資金がどのように調達され、どのように運用されているかがひと目でわかるようになっているのが特徴です。
ここでいう資産とは自己資本と負債である他人資本をあわせたものを指します。
会社法は、株式会社は賃借対照表またはその要旨についてを「官報」や「日刊新聞紙」で公告することを義務付けています。
平成14年からはインターネットでの公開も認められている点も特徴です。
キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフロー計算書では、会計期間における企業のキャッシュフローを営業活動、投資活動、財務活動に区分して表示します。
そもそもキャッシュフローとは、現金での収入と支出の流れを指します。
資金収支と呼ばれることもあり、企業では収入から外部への支出を差し引いて最終的に残ったお金のことを指します。
キャッシュフローが大きいほど企業経営が健全で安定した企業であると考えることができるでしょう。
キャッシュフロー計算書は1980年代後半に欧米で誕生したものです。
日本では2000年から上場企業での作成が義務付けられています。
会計期間の間にどれだけの資金が流入して流出したのかという資金状況を開示するものです。
とくに企業が倒産するリスクを見極める際にはキャッシュフロー計算書が参考になるでしょう。
損益計算書のポイント
損益計算書は企業がどの程度儲けているのかを判断する材料になります。
損益計算書を見極めるポイントについて解説します。
売上高:企業の成長性
売上高は単純に売上と呼ばれることもあります。
企業が商品を販売したりサービスを提供したりしたことで得られる対価として得られる収益のことです。
売上高は商品やサービスを顧客に提供した時点で計上される点が特徴になります。
そのため実際に現金が企業に入る時期とはズレが生じることもあります。
起業したばかりの会社では利益や利益率よりも売上高を増やそうとする傾向があるため売上高だけで判断するのは危険です。
実は資金繰りが悪化していたということもあります。
つまり売上高は企業の成長性を確認する上で重要なポイントであるといえるでしょう。
営業利益:成長の質
営業利益は、その企業が本業の営業で稼いだ利益を指します。
営業利益=売上総利益−販売費および一般管理費
この計算式で営業利益を算出することが可能です。
売上高で確認した企業の成長性について、具体的にどのような成長をしていく可能性があるのかを判断する材料になります。
売上高のなかで営業利益がどの程度の割合を占めているのかをチェックしましょう。
営業利益の割合が適正かどうかによって企業の収益力を確認することができます。
当期純利益:赤字・黒字を判断
経常利益に特別損益を加算したものが税引前当期純利益になります。
税引前当期純利益から住民税や法人税、事業税を差し引いて算出されるのが当期純利益です。
当期純利益を見るとその企業が一事業年度でどの程度の成果をあげたのかがわかります。
経常利益を見ただけではわからない状況も当期純利益を確認することで見極めることが可能です。
財務分析でも重要視される項目ある点も注目ポイントになります。
経常利益が赤字で当期純利益が黒字の場合には、事業が振るわなかったけれど臨時収益でプラスになったことがわかります。
ただし経常利益が赤字であることに変わりはないため経営は不安定と読み取れます。
経常利益が黒字で当期純利益が赤字の場合は当期純利益がマイナスでも経常利益が黒字であることから業績好転が見込めるでしょう。
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貸借対照表のポイント
賃借対照表は、企業の財政状況を客観的に判断することができる資料です。
経営状態を正しく判断するために必要な資料でもあります。
賃借対照表を見極めるポイントについて解説します。
自己資本比率:企業の財政体質
賃借対照表では会社の経営について多くのことが読み取れます。
純資産の部分ではとくに経営が健全に行われているかを見極めることができます。
総資産に対する純資産の比率を自己資本比率と呼びます。
自己資本の比率が高いほど企業の財政体質がよいと判断できるでしょう。
自己資本比率の計算は次の式で行うことができます。
自己資本比率=純資産÷総資産×100
企業の倒産リスクを見る
賃借対照表からは企業の倒産リスクを読み取ることもできます。
ポイントは自己資本比率です。
自己資本比率が50%以上ある企業は財政状況が安定していると考えてよいでしょう。
逆に自己資本比率が10%を下回っている企業は倒産の危険性がある企業となります。
ただし、自己資本比率の高さだけで経営状況を判断するのは早計な場合もあります。
倒産寸前であっても粉飾決算などで利益を水増ししているケースもあるでしょう。
そのため自己資本比率が高い理由についても見極める必要があります。
株主の出資だけで自己資本比率が増大している場合は、経営が厳しくなった場合に資金調達ができずに倒産するケースもあります。
流動比率:支払能力
賃借対照表では、流動比率と当座比率の算出が可能です。
流動比率は短期的に支払いが生じる流動負債に対して、すぐに現金化できる流動資産がどの程度あるかを示します。
自己資本比率の高さとあわせて支払い能力を示す流動比率をチェックすることが重要です。
流動比率が低い企業では、短期的に支払い義務が生じる負債が現金化しやすい資産より多い状況ということがわかります。
流動比率は130〜150%程度を維持していると安心です。
100%を切り始めると倒産の危険があると考えてもよいでしょう。
流動比率は次の計算式で算出することが可能です。
流動比率=流動資産÷流動負債×100
キャッシュフロー計算書のポイント
キャッシュフロー計算書は、企業における現金の増減とその理由を示します。
決算期にどの程度の現金があり、期末にいくらが手元に残っているかという現金の流れを把握するための資料にもなります。
キャッシュフロー計算書では、現状で手元にある現金の額を把握することが可能です。
営業活動によるキャッシュフロー:事業が資金を生み出しているか
営業活動によるキャッシュフローは、企業の本業がどの程度の資金を算出しているかを示す項目です。
営業によるキャッシュフローがプラスの状態であれば本業が資金を算出しているということになります。
マイナスの場合には本業が資産を食い潰していると判断できるでしょう。
とくにマイナスの場合には在庫の圧縮や売掛金回収、買掛金支払い延期などの検討が行われている可能性もあります。
財務活動によるキャッシュフロー:借入金の返済
財務活動によるキャッシュフローは、設備投資や事業への投資などによる投資活動における現金の流れを示す項目です。
銀行からの借入や返済、株式の発行などがこの項目に含まれています。
営業によるキャッシュフローとの関係性もよく理解しておきましょう。
営業によるキャッシュフローがプラスの状態で、借入金をしっかりと返済できいれば財務によるキャッシュフローはマイナスになります。
財務活動によるかキャッシュフローがプラスの場合は、出資や融資を受けていることがわかります。
成長性の見方:売上高と伸び率を見よう
財務諸表では企業の成長性を見極めることが重要なポイントとなります。
成長に期待が持てる企業であれば転職先として絞り込んで問題ないでしょう。
企業の成長性は売上高と伸び率で判断することができます。
営業利益、総資本利益率とあわせて株主資本利益率も確認したい項目です。
またここ数年のうちに売上高がどう推移しているかも注目ポイントになります。
業界内のライバル企業やトップ企業と比較してみることもおすすめします。
経理財務の仕事
経理と財務は一見すると同じ仕事に思えます。
しかし実際には異なる点があるのが特徴です。
経理の仕事、財務の仕事の具体的な内容について解説します。
経理の仕事
経理の仕事は、会計業務の一部であると考えるとわかりやすいでしょう。
会計業務はお金の管理をする仕事です。
会計は企業のお金の流れを把握するために必要な業務になります。
売上や経費を帳簿に記録します。
企業規模が大きいほど会計の業務が多くなるのが特徴です。
企業における会計業務は財務会計と管理会計の2つにわけられます。
財務会計は営業活動による利益などを財務諸表にまとめてステークホルダーに開示します。
管理会計は企業自体の経営状態を把握するための業務であり、経営方針を決める際にも参考とされる業務です。
経理はこうした会計以外に発生する日々の売上や仕入れなどの日常的な出納管理を行う仕事になります。
日々のお金の流れとあわせて月次の仕事として給与や保険の管理や年次の仕事である決算書の作成なども経理の仕事です。
財務の仕事
経理が日々のお金の管理をするのに対して財務は未来のお金を管理する業務です。
つまり企業がこれから使う資金を管理するのが財務の仕事になります。
経理と会計には一部同じような業務もみられますが、財務はまったく異なる業務と考えて問題ないでしょう。
主に金融機関とのやりとりがメインの業務です。
投資やM&Aなどの資産運用を行うのも財務の仕事になります。
賃借対照表や損益計算書などをもとにして財務は資金調達や資産運用を計画します。
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企業の財務諸表はどこで見られる?
企業の財務諸表をみるにはどうしたらよいのでしょうか。
基本的には、企業の公式ホームページとEDINETを活用することで確認可能です。
企業の公式ホームページではとくにIR専用のページをチェックしましょう。
そこには株主や投資家向けに経営状況や財務状況、業績、経営計画などが公開されています。
これらの情報は一般公開もされているため気軽にチェックすることが可能です。
上場企業であれば企業のIRページで大半の情報を手に入れることができます。
とはいえ企業のホームページに記載されているのは最新の情報のみであることが多くあります。
過去のデータも閲覧したい場合はどのようにすればよいのでしょうか。
この場合にはEDINETを活用します。
これは金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムの略です。
このシステムを活用することで企業の法定開示情報を閲覧できます。
転職の悩みは転職エージェントに相談しよう
転職を希望する場合には転職先の財務状況をしっかりと把握することも大切です。
転職したものの財政状況が厳しい会社だったということが起こらないとも限りません。
こうした状態を回避するためにも財務諸表のチェック方法を身につけておきたいスキルです。
ただ、独学でこれらの情報をすべて読み解くことは難しい場合もあるでしょう。
その場合には転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントに相談することで自分では難解な財務諸表についてもアドバイスをもらうことができます。
まとめ
財務諸表の見方やみるべきポイントについて解説しました。
企業の財政状況は外側から見ただけではわからないものです。
倒産の危機にある企業でも表向きは好調に見えるケースも多くあります。
転職する際にはみためだけでなく企業の財務状況にまでしっかりと目を向けることが大切です。
転職先でしっかりとキャリアップして報酬もアップさせるには土台となる会社がしっかりしていないと意味がありません。
そのためにも財務諸表をしっかり読み解いてから転職するようにしましょう。
転職活動で行き詰まったら転職エージェントの活用がおすすめです。
転職成功への近道は自分にあった転職サイトを見つけること!
転職サイトはそれぞれ特徴や強みが異なります。
そのため、転職成功には自分の目的や希望職種にあった転職サイトを見つけなければなりません。
- 種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない
- 自分にあった転職サイトはどうやって見つければいいの?
こんな悩みをお持ちではないですか?
以下に転職サイトの選び方と比較を紹介します。
是非参考にしてみてください!
転職サイトの選び方
転職サイトは以下のような進め方で選ぶと最適なものを選ぶことができます。
- 「エージェント型」と「サイト(求人広告)型」を使い分ける
- 転職目的や職種など希望から選ぶ
これらをより詳しく見ていきましょう。
「エージェント型」と「サイト(求人広告)型」を使い分ける
転職サイトは大きく分けて2種類存在します。
- エージェント型:担当のキャリアアドバイザーがついて転職活動のサポートをしてくれる
- サイト(求人広告)型:求人広告が掲載されており、自身で転職活動を進める
それぞれメリット・デメリットはありますが、転職の成功率を上げるのであれば使い分けが重要です。
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