多くの会社で年度切り替え時期にあたる3月と4月が退職と入社が行われる場合、有休を使いきれないことが起こるものです。

今の会社の有給を使い切れず「残った有給休暇は今の会社に買い取ってもらえないか」と考える人もいるでしょう。

実際有給は買い取れるのか、その条件や相場などを解説します。

Contents

退職時に有給は買取してもらえる?

お札

結論からいうと退職時に有給休暇を買い取ってもらうことは、場合によっては可能です。

ただし原則では、企業が労働者から有給休暇を買い取ることは認められていません。

労働基準法により、企業は労働者に対して有給休暇を与えなければならないと規定されています。

しかし労働者が保有している有給休暇を企業が買い取り金銭を支給しても、労働者へ有給を与えた事にはならないからです。

有給休暇の買取が認められる条件

原則認められていない有給休暇の買取ですが、例外が認められているケースがあります。それは以下の3つのケースです。

 

  • 労働基準法で定められた日数を上回る日数の有給休暇を与えられている場合
  • 退職時に使い切れない有給休暇が残っている場合
  • 時効になった有給休暇がある場合

 

ただし上記三つのケースに当てはまっていても「必ず買い取ってもらえる」ということではありません。

会社に買取義務はない

会議室

先述の通り、労働基準法では有給休暇の買取条件に関して規定しておらず、与えるものであると定めています。

ただし上記のケースであれば労働基準法に抵触しないため、仮に有給休暇の買取りが行われたとしても違法ではないという解釈になるのです。

実際に有給休暇の残り日数を会社が買い取ってくれるかどうかは、その会社の就業規則や規定に沿って会社側が判断します。

そもそも会社には有給休暇の買取義務はありません。あくまで「買い取ってもらえる可能性がある」という事を理解しておきましょう。

 

ワンポイント
有給休暇の買取は制約が多いので注意しましょう。

有給の買取をしてもらう流れ

手帳

仮に有給休暇の買い取りを会社側に交渉する際、どのように進めていけばよいのでしょうか。その流れを確認していきます。

有給の残り日数を確認する

まずは自分が保有している有給休暇の残り日数が何日間あるのかを確認しましょう。

有給休暇の残り日数の確認方法は、社員の日々の勤怠実績がどのように管理されているかによって異なります。

日々の勤怠実績が勤怠システム上で管理されている場合は、大抵そのシステム上で保有している有給休暇の残り日数の確認ができるはずです。

システム上で管理されていない場合、一般的に従業員の有給休暇に関しては人事総務部門で管理されている事がほとんどになります。

一度勤怠管理のあり方についても確認しておきましょう。

最近では従業員の勤怠管理全体を外部の会社に委託している場合も見受けられます。

その場合、必ず誰か(自分も含む)が自社の従業員の勤怠情報を委託先である外部の会社へ報告しているはずです。

有給の残り日数についても委託先の会社に問い合わせれば確認することが出来ます。

残り日数を確認する際の注意点

会議

一点注意を要するのは、直属の上司への報告です。

有給休暇の残日数を確認する時点で、確認を受けた会社側は何かの理由で会社を退社するのだろうと推測するでしょう。

単なる休暇取得であれば問題ありませんが、今回は退職に伴って有給休暇の買取を検討しています。

上司へ報告せずに確認を進めれば、自分には退職の意思がある事を上司は本人以外の人から聞かされることになります。

社員の退職の意思は直属の上司が最初に報告を受け、会社が対処するのが一般的です。

報告順序が逆になってしまうと、思わぬトラブルを招くことがあります。

こういった事態を避けるためにも、事前に上司に退職に伴って有給休暇の残り日数を確認したい旨を伝えるようにしましょう。

その場しのぎの嘘で事を進めても、いずれ退職の報告をしなければなりません。

退職の報告は言い出しづらいことですが、退職時期が急になればなるほど引き継ぎが難しくなるなどの問題が発生します。

そうならない為にも、始めから正直に事実を報告した後に確認をしておきましょう。

有給を管理している部署で手続きをする

有給休暇の残り日数の確認が完了したら、次は買取の可否についての確認を進めます。

前述の通り、会社側には有給休暇の買取義務がありません。例外的に違法にならないケースが存在しているに過ぎないのです。

自分の会社が先に挙げた例外のケースに当てはまる場合、有給休暇の買取が可能なのか確認が必要となります。

具体的には、その会社の就業規則で有給休暇に関する規定の確認をしましょう。

ただし、先に解説したように原則有給は買取るのではなく与えるものです。就業規則に買取規定を設けていない場合も考えられます。

その上で、従業員が有給休暇の買取を希望するのであれば、退職理由や事情によって企業が個別に対応する事になります。

 

ワンポイント
有給休暇の買取は会社にとってもイレギュラーなことなので、手続きは慎重に行いましょう。

有給の買取と法律との関連性

法律

有給休暇の買取を義務付けられていない理由は何でしょうか。

それは本来付与するものを買取ることを義務付けてしまっては、有給の意味を成さないためです。

買取れることを規定してしまうと、お金を払えば会社は従業員に有給休暇を取得させなくても良いことになってしまいます。

これではそもそも有給休暇という概念すら無くなってしまうのです。

このようなことが起こらないよう、労働基準法によって有給休暇に関する規定が定められています。

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実際に有給を買取してもらえるケース

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それでは有給休暇を買取してもらえるケースを詳しく見ていきましょう。ポイントは、労働者が不利にならないという点です。

有給日数が十日以上に規定されている

一つ目は、法定日数を超えた分の有給休暇を買取るケースです。

有給休暇の日数は、法律で定められた日数を付与することが義務付けられています。

使用者である会社側は法定日数を超えた有給休暇を労働者に与えても問題ありません。

法定の有給休暇の日数は、

 

  • その会社の通常の労働者(正社員や正職員、またはそれと同等の業務にあたるパート・アルバイト職員など)が雇入れの日から六ヶ月間継続して勤務している
  • その所定勤務日数の八割以上出勤していた場合、十日間付与すること

 

と決められています。

使用者である企業が、この法定日数以上の有給休暇を労働者へ付与していることも珍しいことではありません。

会社がその超えた日数分の有給休暇を労働者から買い取ったとしても違法にはならないのです。

もちろん買取が義務付けられているわけでもないため、必ず買取ることができるとは限らないという点には注意しましょう。

有給の有効期限を過ぎている

スケジュール帳

二つ目は、有効期限が切れてしまった有給休暇を対象とするケースです。

労働基準法では、付与された有給休暇の有効期限は二年間と定められています。

この二年間を過ぎ、効力がなくなった有給休暇を会社が買取る場合も違法ではありません。

効力を失った有給休暇を会社が買取り、労働者に対して金銭を与えることは当然労働者の不利には当たらず、むしろ利益になるのです。

またこの場合も同様に、失効した有給休暇の買取を会社へ請求したとしても、それに応じるかどうかは会社の判断によります。

退職日までに有給の消化が間に合わない

三つ目は、退職日まで出勤日数では残りの有給休暇を消化しきれないケースです。

例えば現在三十日間の有給休暇を保有して転職が決まったとします。

転職先の会社からは一ヶ月後に勤務を開始することになった場合、このまま予定通りに進めると現在の会社は遅くとも一ヶ月後に退職することになります。

しかし完全週休二日制など一週間に二日休みがある場合、残りの一ヶ月間の出勤日数は二十二日間のため、八日間の有給休暇が残ってしまうのです。

この消化しきれなかった八日間の有給休暇を会社が買い取ったとしても違法ではなくなります。

しかしこのケースも他の二つと同様に、会社には買取義務がありません。

そのため会社は、余ってしまった有給休暇の日数分だけ退職日を先に延ばし、全て消化してから退職するよう調整を提案することがほとんどです。

ワンポイント
これらのケースに当てはまっていても、必ず買取してもらえるとは限らない点に注意です。

有給はいくらで買い取ってもらえるのか

電卓

上記の3つケースに当てはまり、仮に会社側に有給休暇の買取の了承を得た場合、果たしていくらで買い取ってもらえるのでしょうか。

単価、相場、値段に納得できない場合の順に見ていきましょう。

有給の単価は会社側が決める

有給休暇の買取金額も法律で定められていないため、会社側の裁量で決定されます。

買取金額を会社が定めている場合は、就業規則にその旨を明記しているので確認しておきましょう。

有給の買取単価の相場

結論からいうと、有給休暇の買取に相場はありません。裁量はすべてそれぞれの会社にあります。

先に解説した通り事前に会社の就業規則を確認し、有給休暇を買取る場合はいくらになるのか確認しておく事が大切です。

買取単価に納得できない場合

有給休暇の買取単価に納得できなかったとしても買取金額を上げてもらうことは困難です。

法律の定める有給休暇を与えていれば、そもそも有給休暇の買取については会社の自由なのです。

義務もない為、当然法律による買取金額の定めもありません。

万が一その会社で就業規則に定められた金額よりも高額な金額で有給休暇の買取がなされた例があれば、交渉の余地がある場合もあります。

その場合でも就業規則で金額が定められている場合はそれに従うことになります。

有給日数の規定

カレンダー

ここまで見てきた通り、有給休暇の買取におけるポイントは法律で定められた日数の有給休暇を会社が付与しているかどうかになります。

法定日数を超える様な有給休暇の扱いや、退職や時効による失効が起こるケースもないわけではありません。

そうした事情で有給休暇の取得が困難な場合は、買取などの例外措置が認められているのです。

ではその有給休暇の日数は何日と定められているのでしょうか。

法律で決まっている最低日数を知ろう

先に解説した通り会社は通常の労働者と、また同等の勤務をしている非正規雇用者が有給休暇取得の対象となります。

半年間継続して八割以上出勤した場合、十日間の有給休暇を付与しなくてはなりません。

この日数は法律で定められていますので、この日数を下回ってしまうと違法になります。

また非正規雇用者を中心に、通常の労働者ほど出勤をしない人もいるでしょう。

この場合は、その対象の労働者の一週間の所定勤務日数や労働時間によって、付与される有給休暇の日数が定められています。

有給は一日単位での消費しかできない?

このように有給休暇の付与は法律で義務付けられており、最低限定められた日数を原則消化する事を目的としています。

基本は一日単位で消化していきますが、時間単位での消化も認められています。その場合、労使協定が結ばれている事が前提です。

有給休暇の消化を計画する際は消化する単位が一日なのか、時間単位での消化も可能なのか、事前に会社へ確認しておきましょう。

有給買取が可能な具体例

裁判

残念ながら、有給休暇の買取が可能な具体的な事例を挙げることは困難です。

実際に従業員側が有給休暇の買取を会社へ請求し裁判を行った事例(創栄コンサルタント事件)がありました。

しかしながら、規定や慣行がない事を理由に有給休暇の買取請求は棄却されたのです。

有給休暇の買取を会社に義務付けていないため、このように買取が認められないケースは十分考えられます。

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有給を無駄なく消化して転職する方がおすすめ

休暇

ここまで紹介した通り、有給休暇は買取よりもできる限り消化してから退職する方がややこしくなりません。

仮に消化し切れず例外的に会社に買い取ってもらおうとすると、退職日を先に延ばして全て消化できるよう調整されることがほとんどです。

その場合、転職先の勤務開始日に影響します。

最悪、消化し切れなかった有給休暇は使えないまま手放さなければならないことも考えられます。

そのようなことにならないよう、計画的に無駄なく有給休暇を消化していきましょう。

 

ワンポイント
有給休暇の買取は最後の手段として検討するのがおすすめです。

転職相談は転職エージェントを活用しよう

相談

有給休暇については、その会社に勤務しているうちは問題になることは少ないでしょう。

しかし転職を伴う退職時になると、消化し切れていない有給休暇があまりに多く残っていることに気付くことが多いです。

実際にエージェントにも「有給休暇は買い取ってもらえないのか?」という相談が数多く寄せられています。

しかし転職エージェントを利用することで、希望転職の時期に沿ったスケジュールを提案し、有給休暇の消化についてもアドバイスできます。

転職エージェントを利用するメリットは、希望される会社や職に就くサポートを受けられるだけではありません。

理想の転職を実現するために、現在の会社と良好な関係を保った状態で次の会社に移れるよう支援することもできるのです。

現在の会社やそこで関わった人々は、転職先の会社ではお客様にあたるかもしれません。

今後の皆様のキャリアをより良いものにしていく為にも、転職エージェントの活用を検討してみると良いでしょう。

まとめ

手帳

有給休暇は本来、法律で定められた労働者の権利です。有給休暇は原則与えるものであり、その日数は明確に定められています。

今回解説した「有給休暇の買取」については、例外的に法律違反にならないケースも存在します。

しかし定められた日数の有給休暇を会社が付与しているのであれば、それ以外の有給休暇の買取をするか否かは会社側の自由です。

晴れて転職先が決まり心機一転新たなスタートを切るためにも、今までお世話になった会社と円満な退職を進められるよう計画していきましょう。

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